ピルについて
ピルは一般的に経口避妊薬(OC)として使用される、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を複合的に配合したホルモン薬です。女性の立場から妊娠をコントロールできる手段として、高い避妊成功率をもっているほか、意図しない性行為があった場合や避妊に失敗した場合などの緊急避妊薬としても使われます。
また、近年の研究により、子宮体がんや卵巣がんの予防効果、生理痛や月経前症候群(PMS)などといった月経にかかわる症状の緩和、月経の移動などへの有効性も認められており、いくつかの疾患に関しては健康保険適用の治療薬としても使用されております。健康保険の適用となる場合は、LEP(低容量エストロゲン・プロゲステロン配合薬)という呼び名になります。
女性の生活にとって大きな効用をもたらすピルについて、正しい知識をもっておくことは大切です。
下記に該当する方はピルの処方ができません。ご確認ください。
- 45歳以上の方
- タバコを1日10本以上吸われる方
- 前兆を伴う偏頭痛のある方
- 肥満(BMI30以上)の方
- 高血圧や糖尿病に罹患されている方
- 妊娠中または妊娠している可能性のある方
- 授乳中の方
ピルの種類
ピルには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の両方を配合したものと、プロゲステロンのみのもの、ホルモンの働きを抑制するものといった大きく作用の仕方だけでも3つの種類があります。また、ホルモン配合薬にはそれぞれの配合用量を用途にあわせて変えたものもあります。
低用量ピル(経口避妊薬)とは
低用量ピルは、避妊効果の他にも、月経痛や月経前症候群(PMS)、過多月経などの症状の緩和、生理不順を改善し月経周期を安定させるなど、生理に関する症状の改善効果や、子宮内膜の増殖を抑える効果に伴う子宮内膜症の改善、子宮体がん、卵巣がんの予防効果、排卵痛の改善、大切なイベントがある際などの月経移動、にきびや肌荒れの改善など女性の日常生活にとって有用な様々な効能をもっています。
低用量ピルは、服用を続けている間は高い避妊効果を発揮しますが、服用を中止すれば数か月で妊娠が可能になりますので、将来妊娠を希望する方も安心して服用できます。
低用量ピルの飲み方
低用量ピルは1日1回、1錠ずつ服用します。特に服用する時間や食前・食後などの決まりはありませんが、一定の時間に飲むことが大切です。夕食後や就寝前などご自分でルールを作っておくと良いでしょう。
低用量ピルの副作用
- 頭痛
- 吐き気
- 不正出血
- 乳房の張り
- 倦怠感
など
低用量ピルの費用
保険診療
- ヤーズフレックス
- ジェミーナ
- フリウェル
自費診療
費用 | |
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マーベロン | 2,500円/シート |
トリキュラー | 2,500円/シート |
※保険診療は診察料(初・再診料)、自費診療は処方料が別途かかりますのでご注意ください。
アフターピル(緊急避妊薬)とは
アフターピルとは緊急避妊薬のことで、英語ではEmergency Contraceptionといい、ECと略されます。コンドームの破損、低用量ピルの飲み忘れといった事故や、望まない性行為があった際などの翌日以降決められた日数以内に服用することで、高確率で避妊することができます。
近年多く使われているのは、レボノルゲストレルというお薬でホルモンの働きをコントロールして、排卵を遅らせる働きのあるものです。性行為の後24時間以内に服用すれば95%、72時間以内で85%の確率で避妊できるとされていて、事後、時間が経つほど確率は下がっていきます。
ただし、アフターピルのお薬は医師の処方箋が必要です。緊急避妊が必要な方は、お早めに当院までご相談ください。
アフターピルの飲み方
アフターピルは、日本ではレボノルゲストレルというホルモン抑制薬などいくつかの薬が承認されています。用法などにはそれぞれ差があり、また、レボノルゲストレルには初発薬とジェネリックなどもあります。いずれも、避妊に失敗したかもしれないという性行為の後、できるだけ早く服用することで、避妊成功の確率が高まりますので、できるだけ早いうちにご相談ください。
アフターピルの副作用
- 頭痛
- 吐き気
- 嘔吐
など
アフターピルの費用
費用 | |
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レボノルゲストレル | 8,000円 |
中用量ピルとは
中用量ピルは、エストロゲンの分量が少し低用量ピルより多くなっています。そのため、効果が高く、主に月経移動の際や治療目的で使われることが多いものです。月経移動は、大切なイベントや旅行などの予定と生理が重なりそうな際に、前もって中用量ピルを服用することで、月経時期を早めたり、遅くしたりすることが可能になるものです。たとえ、ピルによって月経をずらしても、その次には普段と変わりない周期で月経が再開しますので、安心して服用することができます。月経移動は予定の3日前から可能ですが、前もって予定が分かっているときは、その前の周期から服用するとより確実です。希望の方はいつでもご相談ください。
中用量ピルの飲み方
月経を予定より早めたい場合
予定の前周期の月経初日の3~5日目から、最低でも10日間、1日1錠を決まった時間に服用します。服用を止めて2~5日後には月経が始まります。
月経を予定よりも遅らせたい場合
予定の前周期の月経初日から7日以内に服用を開始し、遅らせたい日まで毎日1錠を決まった時間に服用します。あるいは、妊娠の可能性がなければ、遅らせたい月経予定日の5~7日前から服用を開始し、遅らせたい日まで服用を続けます。
服用を中止すると、2~3日後に月経が始まります。
中用量ピルの副作用
- 不正出血
- 頭痛
- 吐き気
- 乳房の痛み
など
中用量ピルの費用
費用 | |
---|---|
プラバノール | 2,000円/シート |
よくある質問
ピルの服用で太るのですか?
ピルを服用したからといって、それだけが理由で太ることはありません。ただし、ピルの服用によって、個人差はありますが。月経困難などの症状が緩和され、体調が整うことによる体重増加はあり得ます。
ピルの値段は通販で購入する方が安いですか?
ピルは医療用医薬品になります。そのため、日本国内では、医師の処方箋がなければ購入できません。
インターネットで海外からの個人輸入などを誘うような記事を見かけることもありますが、医薬品の個人輸入に関しては、厚生労働省からも注意書きがでているように、日本国内で承認されているものと異なり、成分や安全性の保証がないものですから、安いからといって購入することはお勧めできません。
ピルを入手できるのは、正規の医療機関のみで、インターネットの通信販売などで購入できるのは、医師がオンラインで診察し処方するケースです。
当院では、医師がピルを希望する患者様のご希望を丁寧にお聞きした上で、最適の処方をいたしております。またジェネリック薬品のご用意もありますので、いつでもご相談ください。
低用量ピル服用時は、妊娠しても気づかない場合がありますか?
1日1錠を決まった時間に正しく服用している場合、避妊成功率は99%とされています。休薬期間中には消退出血がありますが、飲み忘れてしまうことが多いようなケースでは、たとえ出血があっても妊娠している可能性もあります。また、高い避妊成功率を誇る低用量ピルですが、その効果は100%というわけではありませんので、稀にですが妊娠の可能性もあります。服用を中止した後、生理の開始が遅れるようであれば、いつでも当院にご相談ください。