乳がん検診

乳がん検診について

乳がん検診について

日本では、女性のがんの罹患率、死亡者数ともに乳がんは上位を占め、特に死亡者数は年々増加傾向にあります。乳がんは40歳代後半から50歳代前半ぐらいが発症のピークですが、数こそ少ないものの20歳代でも発症することがあります。早期に発見して治療を開始すれば、比較的治りやすいがんですので、若いうちからしっかりとセルフチェックの習慣をつけるようにしましょう。罹患数が増えてくる30歳代になったらマンモグラフィや超音波による乳がん検診を定期的に受けましょう。

このような症状はありませんか?

乳がんの初期はなかなか自覚症状が現れにくい疾患ですが、少し大きくなってくるとしこりが触れるようになります。また、乳頭や乳輪に湿疹が起こり乳頭の先から血液が混じった分泌物が出ることもあります。さらに進むと乳房の皮膚にえくぼ状のへこみができるようなこともあります。乳がんの初期症状では痛みを感じないことが多いのですが、稀に乳房の痛みから婦人科を受診して乳がんが発見されることもあります。
乳房に関するどんな症状も、自己判断せずに、まずは婦人科を受診してください。

乳がん検診をお勧めする方

  • 初潮が早かった方
  • 閉経が遅かった方
  • 乳がんを患ったことのある方
  • 親族に乳がんを患った方がいる方
  • 肥満の方
  • タバコやアルコールの摂取が多い方

など

乳がん検診で分かる病気

乳がん

乳がんはほとんどが乳腺から生じ、多くはしこりや微細な石灰化といった症状から発見されます。早期に発見できれば、乳房を残す温存治療が可能です。なお、乳がん検診を受けていただくことで、セルフチェックでは感じないようなしこりや小さな石灰化などが発見できます。

乳腺症

30~50歳代にかけての女性に多く見られる、乳がんや乳腺炎などのはっきりした疾患以外の乳房のしこりや痛みといった不調の総称です。性ホルモンのバランスが崩れることで起こります。

乳腺炎

授乳期によく見られる乳腺の炎症が乳腺炎です。乳房が痛んだり、赤く腫れたりして高熱が出ることもあります。授乳期には母乳が通る乳管に母乳が溜まってしまうのが原因となって炎症を起こします。

乳がん検診の検査項目

マンモグラフィ検査

胸部X線検査では乳がんは発見できません。そのため乳房の検査専用としてマンモグラフィ検査を行います。乳房を撮影台と専用の板で圧迫し薄く伸ばして、片側2箇所ずつ、4方向から乳房全体を撮影します。触診ではわかりにくい小さなしこりや、乳がんの初期症状としてあらわれることが多い微細な石灰化なども発見できる上に、被ばく量も少なく、乳がんの早期発見に有効な検査です。

マンモグラフィ検査

超音波検査

超音波検査装置を使って、乳房に超音波を当てて内部組織に反射して戻ってくる音波を画像化する検査で、エコー検査とも言います。乳腺内の小葉や乳管にある腫瘍や病変などを発見でき、腫瘍があった場合その大きさや腫瘍内の血流なども確認できます。
マンモグラフィと違って放射線被ばくのない安全な検査で、乳房内で乳腺の比率が高い方はX線では腫瘍と乳腺の区別がつきにくいことがあるため超音波検査が有効です。一方、マンモグラフィは超音波検査では発見しにくい石灰化を確認することができます。そのため、正確な診断を行うため両方の検査を併用したり、使い分けたりすることが大切です。

視診・触診

視診では、乳頭や皮膚の状態にがんの徴候がないかを調べます。その後触診でしこりができていないか、乳頭からの異常な分泌がないかなどを確認し、さらに腋の下や頸のリンパ節が腫れていないかなども調べます。

組織診(針生検)

局所麻酔をした上で、疑わしい組織を、専用の太めの針を使用して採取し、生体検査を行います。太い針を使用するためサンプルを多めに採取でき、良性か悪性かを特定するだけではなく、より詳細で具体的な診断も可能になります。

細胞診検査

超音波検査の際、疑わしい部分が発見されると、その場で画像を確認しながら細い針を使って乳房内の組織を吸い込んで採取します。採取した組織は顕微鏡的検査を行い、良性か悪性かを判断しますが、針が細いため十分な量のサンプルを採取できないケースもあります。

乳がん検診の注意事項

乳がん等で乳房切除術、乳房温存術を受けたことのある方、美容医療で豊胸術などを受けた方は検査が受けられないことがあります。また、心臓にペースメーカーが入っている方、透析用のシャント、ポート、V-Pシャントなどを入れている場合、妊娠中の方や妊娠の可能性がある方も検査ができないことがあります。なお検査日に生理が重なる場合は日程を変更してください。

よくある質問

乳房超音波検査とマンモグラフィは、どちらが必要ですか?

乳房は主に脂肪と乳腺でできています。マンモグラフィは乳腺が白く写り、脂肪は黒く写ります。もし腫瘍があった場合、腫瘍も白く写りますので、高濃度乳房など乳腺が多い方の場合、腫瘍と乳腺が重なってしまって発見しにくいこともあります。その点、超音波検査は腫瘍が黒く写りますので腫瘍が発見しやすいことがあります。
一方、微細な石灰化を発見するということに対しては、超音波検査がリアルタイムな画像を診断するのに対し、マンモグラフィは画像を時系列的に保存して過去の画像や左右の違いなどを比較することができます。
そのため、マンモグラフィと超音波検査はどちらかを選ぶというのではなく、うまく両方の長所を活かして併用するという考え方をお勧めしています。毎年定期検査を受ける際に、交互にどちらかを受診するといった方法をとるのも良いでしょう。

検診は何年ごとに受けるとよいですか?

検査では、その時点で異常がないということは分かりますが、検査日以降の健康を保障するものではありません。ある日突然組織のがん化が始まることもありますので、毎年、ある程度時期を決めて定期的に受診することをお勧めします。

胸が小さいのでマンモグラフィが撮れるか心配です。

乳房の大きさや形、性質などは人それぞれです。マンモグラフィでは、それぞれの乳房を前に引き出し、均質に薄く伸ばして乳房の組織をX線によって画像化します。そのため、男性の乳房でも画像化できるほどです。安心して受診してください。ただし、乳房の大きさには関係なく、薄く引き延ばす過程で時間がかかるケースもあります。

乳がん検診は何歳から受けたほうがいいですか?

乳がん発症のピークは40代後半から50代前半ぐらいですが、30代から少しずつ増え始めます。数は少ないですが20代後半から発症する方もいます。そのため30歳になったら定期的な乳がん検診を受けることをお勧めします。

どんな人が乳がんになりやすいですか?

乳がんは妊娠や出産の回数との関係や、初潮年齢と関係があると言われています。しかしそれ以外の方が乳がんにならないということはありません。女性の皆さんに定期検査をお勧めしています。

乳がんは遺伝しますか?

すべての乳がんではありませんが、一部家族歴に関係ある症例の報告があります。もし親族で乳がんに罹った方がいる場合は、25歳を過ぎたら、毎月1度セルフチェックを行い、年に1度は乳がん検診を受けるようにしましょう。

マンモグラフィは痛みがありますか?

乳房を平らに圧迫しますので、ある程度の痛みが生じます。痛みの感じ方には個人差がありますが、多くは圧迫痛と皮膚がひきつれるような痛みを感じます。1方向の撮影時間は3秒から10秒程度ですので、息を吐いてリラックスして受診してください。

乳がん検診の費用

こちらは自費で受けられる場合の検査費用になります。

費用(税別)
超音波検査+マンモグラフィ検査+乳房触診 11,000円
超音波検査+乳房触診 6,000円
マンモグラフィ+乳房触診 6,000円

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